停電 樹氷
今朝はとても冷えた。冷えたの。とても冷えたの、稗田阿礼。
6時半ごろに、何か違和感を感じて目を覚ますと天井のライトが消えていた。私は自室の調光ライトを弱にして寝ているのに。
停電だろうか。たまに父が朝方に私に声をかけた際についでに消すこともあるので、記憶はないけど今日父は私に一度声かけてから起きたのだろうか、もう階下に居るはずだし、と思っていたら、階下からカチャーンカチャーンと瓶の倒れる音がした。
ドアを開けて
「お父さん?」
と声をかけると
「停電!」
という返事が返ってきた。やはり停電か。
1階へ降りていくと懐中電灯で父がウロウロしていた。まだ日は昇っていないが、そとはわずかに明るい。
「まず自作のルーターが落ちたんだ。おかしいなと思ったあとにファンヒーターとか上の電気が全部消えた。いまブレーカー直してきた。」
と言うので、
「停電はうちだけ?」
と聞くと
「うちだけ、うちだけ。ブレーカーが落ちてたから。」
と言った。
「でもそんなに電気使ってないよね。昼間もっと、各部屋で電気使ってるときもあるのに」
「うん…」
「ブレーカー、寒さでびっくりしたのかな…」
などなどやり取りして、私はまた部屋に戻って寝た。
身体が冷えたので電気毛布を強にして寝たら、ギャングに邪魔される夢を見て、ギャングの1人はカンフージャケットを着た国分太一くんだった。
起きてもまだかなり冷えていた。
「今日、マイナス10℃だったって。」
と父が言った。体感だともっとあった気がした。
晴れている。
父が窓の外を見て
「無風だ。わー、冷えてるから枝に付いた雪が落ちない。」
と言った。私は
「樹氷だね。」
と言った。その後に
と言ってみて、1人で笑った。
それを聞いた父は
「お!サムライみたい!『もんど』って!」
と言ったので、私は(モンドに注目するんだ、受賞と樹氷をかけたほうに注目しないんだ、)と思った。